3月の読書まとめ
- Day:2014.04.02 19:57
- Cat:読書
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4339ページ
ナイス数:34ナイス
脱資本主義宣言: グローバル経済が蝕む暮らしの感想
今のこの社会が「生きづらい」理由の一つに、現代社会は経済の成長を至上の価値観とし、常に右肩上がりのグラフを目指すように出来ているからだ、と説く。 確かに資本主義では「効率・成果」が最重要視されるし、そこで暮らしている我々はなんの疑いもなくその価値観に染まりきっていて、すべての「いい」か「悪いか」の判断基準もそこから発している。 「永遠の成長」などあり得ないわけだし、そういった生き方にどうしても適合できない人も出てこよう(続く。
読了日:3月30日 著者:鶴見済
その後の不自由―「嵐」のあとを生きる人たち (シリーズ ケアをひらく)の感想
再読。やはり素晴らしい本だと思う。 ダルク女性ハウス代表であり、自身も依存症であった上岡陽江さん。 どうしようもなく「生きづらさ」を抱えた人というのは、しばしば健常者から見ると眉をひそめるような行動パターンを取りがちなんけれども、それにはちゃんと全て理由があると説き、その理由を鋭い視点で説明してみせている。 愚痴や相談の仕方自体が分からない、家族の外部に「応援団」を持ってない、人と近づきすぎてしまう、自分の身体感覚を我慢しすぎてマヒしている、など……(続く。
読了日:3月29日 著者:上岡陽江,大嶋栄子
新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)の感想
山田風太郎氏の小説自体は読んだことはないのだけれど、この本は面白かった。 優れた作家の資質のある人間――この本では名もなき庶民としてだが、そういった視点を通して描かれた戦中と戦後が淡々と、そして分かりやすく記録されている。 同盟国ドイツが降伏しヒトラーが自殺した報を聞いて「巨星墜つ!」と書いていたり、玉音放送を聞いた日に同級生とクーデターまがいのことを計画してみたり……状況自体は激動の時代だったわけだが、良くも悪くも筆者も周囲の人間も「日々の生活に追われている普通の人」であって、だからこそ親近感が持てた。
読了日:3月28日 著者:山田風太郎
こころ (新潮文庫)の感想
今更ながら読んでみた。 若い頃読んだら大層共感しただろう内容だが、自分が年をとると「先生」の思いこみの激しさやエゴイストぶりに突っ込みを入れたくなったり。 本人自身しかわからない認知の歪みというのは、たいてい暗く妄想的で極端なのだが、ここまで繊細な文章にされると逆に一種の美しささえ感じる。 親友であるKに対する愛憎入り交じった複雑な心境や、世の中に対する疎外感と孤独感はとても共感できたし、そういった心理の機微が細かく描写されていて、辛いときなどにまた読み返したいな、と思える一冊だった。
読了日:3月26日 著者:夏目漱石
ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)の感想
この本読んでると、「日本マジでやばいんちゃうか?」と思う。 200万人もいるって…認知症老人の150万人よりも多い数だよ? しかも、完全に野放しどころか、パチンコ業界は拡大・推進されてる一方で、ギャンブル依存症に対しての対策も皆無。 さらに精神医学界もギャンブル依存症に興味がなく、国民のほとんどもこの病気について知らない…。 依存症は普通の病気と違い、周囲が世話を焼けば焼くほど症状が悪化する病気である。その基本的なカラクリも啓蒙せずに、これだけパチンコが蔓延している現状というのは恐ろしいことだと思う。
読了日:3月25日 著者:帚木蓬生
「ひきこもり」だった僕からの感想
さすがひきこもり当事者が書いた本だけあって、俗に言う「専門家」が展開するような理路整然としてはいるが、どこか他人事な分析とは違い、「魂の絶望」とでもいおうか……そういう怨念と気迫が感じられる。 もちろん、単なる評伝にとどまらず、著者自身の「ひきこもり」についての分析も非常に興味深いものになっている。 私が特に共感したのは、上山氏の「復帰に対する考え方」だ。 そもそも、ひきこもりから脱出するチャンスがあったとして、「元のレール」に戻ろうとすると、ものすごく苦しむことになる。というか、無理なのだ(続く
読了日:3月22日 著者:上山和樹
ネトゲ廃人の感想
ネットゲーム依存症が騒がれる昨今、参考として読んでみたのだが、どうもこの本で紹介されている人たちはそこまでひどい廃人ではないと感じる。 「飽きたからやめた」というレベルの人が多く、確かに実生活に影響は及ぼしているが、人生そのものが破綻しているレベルにはない。 この本はサブカルチャー系統の書籍棚にあったので、そこまでリアルな描写はいらないのか……。 しかし、「私がいなくなると、みんな死んじゃう」というキャッチコピーは、ネトゲにおける無言の拘束力を言い当てていて秀逸だと思った。
読了日:3月18日 著者:芦崎治
社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)の感想
本書では、ひきこもりにおいて「30歳」とはひとつのターニングポイントだと説いている。 残酷なようだが、この時点において復帰のメドが立っていないようなら、「詰んだ」ことを覚悟しなければならないということだ。 すなわち、もう社会復帰以外の選択肢を本気になって考えなければならない。 出版されたのが98年なので、やや情報が古い部分もあるが、ひきこもりの概要や治療法においては今も変わりなく、充分読書に耐えられる興味深い本だった。
読了日:3月17日 著者:斎藤環
明日の記憶 (光文社文庫)の感想
映画を観てから原作を読んだクチ。 徐々に失っていく記憶や人格の変化に戸惑う様子を主人公目線で描いている。 アルツハイマー病は多くのものを失う病気であり、そのような絶望的な窮地に追い込まれても、この主人公は最後まで人間らしくあろうと病気と闘い続けた。 高齢化社会になって、認知症に対する理解は増えてきたとはいえ、それでもこの病気は想像を絶する孤独感との闘いだろう。 こういった病気を題材にするにしては、いささかキレイにまとまり過ぎてるような気もするが、あくまでフィクションであるし充分引き込まれる内容だった。
読了日:3月8日 著者:荻原浩
私はヒトラーの秘書だったの感想
ヒトラーの秘書、トラウドル・ユンゲの自伝。 トラウドルは、当時としてはドイツ人として一般的なナチズムの信奉者だったが、ユダヤ差別主義者ではない。 この本では、「よく知らない間にユダヤ人は社会の片隅に追いやられれ、抹殺されていた」と書いてある。ナチスの手際の良さが窺い知れて驚嘆せずにはいられない。 また、秘書の目から見た一個人としてのヒトラーは、とても紳士的で穏やかで、魅力的な人物だったらしい。他のナチス高官も同様だ。 この本を読んでると、真の狂気とは渦中にいると気付かないものなのだなと感じさせる。
読了日:3月7日 著者:トラウデル・ユンゲ
今日、ホームレスになった―15人のサラリーマン転落人生
読了日:3月7日 著者:増田明利
狂気という隣人―精神科医の現場報告 (新潮文庫)の感想
一人の精神科医の視点から、淡々と精神病患者について記述している。 この本では、殺人などの犯罪を犯した精神病患者を裁くシステムの不備を嘆いている。 そのためか、どのケースもかなり重症の患者を紹介している。 これを読んで作者に同意するか、反発するかはまた別として、少なくともこういう事実がある、ということは胸にとどめておきたい。
読了日:3月5日 著者:岩波明
ビジュアル 1001の出来事でわかる世界史の感想
写真や資料付きで、先史時代から現代までの主要な出来事をピックアップしてて、とても面白かった。 じっくり最初から読むも良し、拾い読みするも良し。 気になったワードについては他の本で調べて掘り下げてもいいし、いろいろな使い方ができる一冊。
読了日:3月5日 著者:ダン・オトゥール他
「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論 (中公新書ラクレ)
読了日:3月2日 著者:斎藤環
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